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まちづくり情報 7号 ページ2
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青森県・県商工会議所・県商工会連合会―消費購買動向による商圏調査報告―

 青森県・県商工会議所・県商工会連合会では平成12年7月に県内の消費者購買動向をまとめ、商圏調査報告書として平成13年2月に刊行しました。 この調査は、小学5年生のいる家庭を対象に各市町村世帯の約5%を選び実施されました。 この調査から、十和田商圏および吸収率人口が減少したという結果だけでなく、中心商店街のお店にとってたいへんに興味深い調査結果がありますのでそれらの一部をご紹介します。
特に休日となるとまったく人通りのなくなる稲生町ですが、人口6万もいる十和田市民はいったいどこに買い物に行っているのでしょう。  
そこで、「消費者はどのような店で買い物をするのか」、「買い物は主にどこの市町村でするのか」、「それはどうしてか」など、品目ごとに分析してみました。
 
図1 十和田市の消費者が主に利用する店
●食品はスーパーで、衣料品は大型店で  
 まず、十和田市の消費者にどのような店で買い物をするかを聞いた答えを下のグラフ(図1)に示しました。品目によって大きく異なりますが、大きく見ると最も多いのが大型店で、市内ではダイエー、市外で最寄りの大型店といえば言うまでもなくジャスコです。
 商品毎に分析してみると、食料品はスーパー・コンビニまたは大型店で購入するという人が多く、一般の商店で購入する消費者は少ないようです。また、衣料品の中でも婦人服、下着などは大型店での購入を選ぶ人が圧倒的に多く、日用品、台所用品はディスカウント・ホームセンター・量販店などでの購入客が多いようです。これらの店は、小さな商店ではとても太刀打ちできない品揃えの豊富さや価格の安さが売り物ですから、購入客の足も自然と向いてしまうのかもしれません。
 その一方で、文房具、本、CD、家電製品、家具インテリア、呉服、メガネカメラ時計、化粧品、医薬品などは専門店や一般店で購入すると答えた人が4割以上でした。店の人からアドバイスをもらったり、注文販売したりする場合などに、小売店のこまやかな対応が生かされているのではないかと思われます。  以上のように、商品によってはまだまだ商店街優位のものもあり、そこを活かしてお客様をまた呼び戻せるのではないかとも思えます。
図2 十和田市の消費者が月2,3回以上買い物する市町村
●買い物する街の第2位に下田町
 図2は、十和田市の消費者の主な購入先の市町村を商品毎に調査したものです。  購入先の第1位はもちろん十和田市でしたが、第2位は下田町、第3位が八戸市でした。これは、下田町に大型SCできる以前では考えられなかった現象です。
  品目別に見ると、食料品、日用品・台所用品、書籍文具家電などは、ほとんどの人が「十和田市内で購入」でしたが、医薬品・化粧品以外の身回品・雑貨と衣料品では「十和田市で購入する」と答えた人は8割以下でした。とくに婦人服・子供服やスポーツレジャー用品は約4割の人が十和田市外で買い物をすると答えました。
図3 他の街(市町村)で買い物をする理由
●流行情報・品物にあふれ,家族で楽しめる街
 そこで、「なぜ自分の町以外の市町村で買い物をするか」という質問に対する答えを市町村毎に分けて、次のグラフ図3に示しました。
 アンケートの問いに用意された理由の項目は18項目でしたが、各市町村での上位6位内は同じ項目が選ばれていました。そこで、人口10万以上の青森・弘前・八戸の3市、人口5万以下の4市、そして、十和田市周辺の上北郡内8町村(七戸・百石・十和田湖・六戸・上北・東北・天間林・六ヶ所)をそれぞれ平均し、十和田市や下田町の結果と比較してみました。
 十和田市の消費者が、他の市町村で買い物をする理由は、品物の豊富さや大型店が魅力のようで、人口10万人以上の都市型よりもむしろ5万人以下の市と似た傾向でした。一方、東北最大規模といわれるSCジャスコを持つ下田町では、意外なことが分かりました。下田町では約1/3の回答者が他の市町村で買い物をすると答え、その理由に「価格の安さ」と「品物の豊富さ」をあげている点です。ところが、十和田市においては「価格の安さを求めて他の街へ出かける」とした消費者の割合は高くはなく、十和田市の消費者は価格の安さよりも、品物が豊富で、大型店があり、家族で楽しめる場所を求めて他の市町村へ出かけるようです。  


まちづくりへのヒント


 そういう意味では、十和田の中心商店街が目指す方向として
品物の豊富さの充実はもちろんですが、街へ来ると日常的に何か楽しいことが
あるというような「楽しい街」づくりが効果的かもしれません。
  今回の調査の回答者の約9割は30・40代で、
今の稲生町の商店街で見かける年齢層としてはかなりの少数派です。
これらの人々が町から遠ざかったためにこのような閑散とした街になって
しまったのではないかと思われます。  
本報告書のデータを再分析してみて、十和田市の中心市街地活性化基本計画で「目標の姿」として
挙げられている柱の1つ「楽しく過ごせる愉快な街にする」を重点的に工夫すれば、
購買力も活気もある30・40代の世代を再び商店街に呼び戻せるのではと思いました。