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まちづくり情報 9号 ページ2
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街の再生へ向けた津山市の取り組み

 中心市街地活性化へ向けて、全国各地でさまざまな取り組みがなされていますが、TMOに対する支援メニューの補助金をうまく活用した津山市のまちづくりの事例をご紹介します。  特にこの事例では、地元、行政、商工会議所、そしてデベロッパーによる四位一体のパートナーシップによる取り組みとして注目されています。

〜市と商業者の威信を賭けた大事業〜

 岡山県北部、人口約9万人の地方中核都市・津山市。1999年4月、この街の中心街に敷地面積13,000u、地下1階地上8階建ての巨大なビルが完成しました。中は老舗百貨店を核店舗とする商業施設と、市立図書館、音楽文化ホール、男女共同参画センター、展示ホールなどの公共施設が同居し、約750台分の駐車場を確保しています。都市型複合施設「アルネ・津山」と命名されたそのビルは、総事業費269億円、中心市街地活性化のために、津山市と商業者が威信を賭け、18年がかりで実現した平成の大事業の成果なのです。  津山市は古くから県北の経済・文化の拠点として栄えてきましたが、高速道路の開通、郊外へ大型店が数多く進出したことに加え、市役所が中心部から郊外へ移転し、中心部はにぎわいを失ってしまいました。


〜中心街3ヘクタールの再開発事業  「総論賛成」「各論反対」〜

 そこで、道路整備、中心市街地の住宅環境整備、大規模商業集積の導入の3つを目標として、中心部約25fのうち4.3fを商業ゾーン、住宅ゾーンとして再開発する計画が商工会議所により策定されたのが1981年のことでした。そして、地権者約180人からなる再開発準備組合が立ち上げられました。しかしその後、利害関係などの表面化からデベロッパーとの契約直前になって約120人の地権者が反対協議会を結成、再開発中止の陳情書を市や県に提出したのでした。それでも準備組合の役員は反対派の家を一軒一軒説得に訪ね、その努力が徐々に実を結んでいきました。

〜住宅建設の先行で権利者に与えた「住」への安心感〜

 さらに計画推進の起爆剤となったのが、第一期事業として88年から進められていた住宅ゾーンでの住宅棟の完成でした。これらの住宅棟は、再開発の対象となった地域の住民のための賃貸および分譲マンションでした。商業施設の着工よりも、マンションの建設を先行させたことが、地権者にとっては、住む場所が確保されたという安心感を呼び起こし、同意を得る上で大きなプラスとなりました。  94年には二つ目の住宅ゾーンに福祉施設を含む住宅棟が完成し、その後、中心市街地の中核となる大型商業施設の開発・中心街の活性化へ向けて津山街づくり株式会社が94年に設立され、大型商業施設を導入する再開発第三期事業が始まりました。  18年もかけたこの事業のうち中核となる建物「アルネ津山」着工に至るまでの16年の歳月は住民・商業者・地権者のコンセンサス形成とその地に住んでいた人たちの受け皿住宅や移転のための事業に費やされたのでした。

〜TMO認定で活性化支援メニューを活用〜

 これらの事業に導入された資本は、当初中小企業総合事業団の高度化融資を活用するはずでしたが、うまく行かず遅れていました。しかし、99年に中心市街地活性化法が制定され、津山街づくり会社はTMO事業者として認定されたのです。これにより、全国初の各種支援メニューからの補助金導入が実現し、その結果、総事業費269億円のうち、国、県、市からの補助金等により調達された金額は約200億円にもなりました。  

〜核施設だけでは活性化に繋がらない〜

 ところがいよいよ開店という時、同じ中心街にあった高島屋津山店がアルネ内の核店舗百貨店「天満屋」との競合を避けて撤退してしまい、中心街の二つの核店舗による相乗効果を期待していた商店街の思惑がはずれてしまいました。  開店したアルネ津山の年間来客数は250万人と目標達成したものの、売上は115億円で予想の80%程度と郊外大型店の集客力を崩せず、やや苦戦の情勢を見せましたが、その後、商店街との協力連携策により徐々に集客力をつけ、売上額も好調に伸びてきているということです。  アルネの効果は、周辺商店街の人々に対し、活性化へ向けた「自助努力」を再認識させるものとなりました。それは、商店街のアーケード化や立体駐車場建設等のハード面だけでなく、古い造り酒屋を改造しアンティークショップなど若者向けの店舗導入したバール横丁や商店街同士が協力した形での中心街全体でのイベント開催などのソフト面にも数多く波及効果が現れました。  津山市に限らず、核店舗や公共施設など巨大な核施設を導入しただけでは、どんな商店街でも活性化へは繋がりません。核施設の集客力を点から面に広げるのは商店街と住民の役目ではないでしょうか。





〜十和田のまちづくりの新しい課題〜

 今、十和田市でも大型SCジャスコの中心街へ出店希望が大きな話題となっていますが、まちづくりを進める中で避けて通れない課題となっています。  住民や権利者とのコンセンサス形成には越えなければならない多くのハードルがありますが、事業を進めるためには、住民や権利者に「安心感」を与えることが必要とされるではないでしょうか。  TMOの真価を発揮する重大な時が迫っています。