風 (佐藤 忠良 作) 制作 平成3年
図書館前にある5頭の親仔馬のブロンズ「慈しみ」は、比較的リアル(写実的に実物に近く)につくられているから親近感があるという人が多いのですが、この保健所前の作品「風」は、どうもうまくないウマだと評する人もあります。顔と胸がウマくないと。
作者は、この作品についてこう言っています。「私は馬の彫像をつくろうとしたのではない。さわやかな緑の風のなかで、草を手に自慢気に馬に乗って楽しむ子どもを表現したのだ」と。
馬場馬術の中に、バッサージというのがあります。馬のダンスともいわれています。顔を胸に引きつけて、ボンボンとはねとぶように足をつかい、スキップを踏む情景を、この彫刻はよく表わしています。たぶん、馬の足を見るとそのリズムカルで軽快なテンポが伝わってくると思います。
作者は台座の高さを指示して、誰もが坐れるように低くしてあります。物を見る目の角度をアングルといいますが、そのアングルを台座に坐った高さと位置にすると、作品は全く違ったものに見えてきます。試してみてください。
「作品の解説」(市民文化センター元館長 今純一郎氏)
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