早 蕨 (佐藤 忠良 作) 制作 昭和55年
作者佐藤忠良を「首切り」の男という人があります。いろいろな地方の生活と風土を堅実に表現する、非常に多くの首の彫刻に手がけた人だったからです。首の次に「ジーパンをはく女」「帽子をかぶる女」などの裸婦全身像の時代になります。
その時代の代用作がこの早蕨(さわらび)です。 佐藤忠良の製作態度は、一貫して理想的な人間像・人間美を追求することに特徴があります。
「早蕨」のモデル笹戸千津子さんは,雪どけの山から芽を出して、やわらかいながら芯(しん)の強い、たくましい剛と柔を合わせ持った蕨のような、そんな人柄です。
作品をみておわかりと思いますが、控えめのような表情をしながら、自由に伸びやかに生きる強さや健康さが、よく表現されています。
具象の世界で、佐藤忠良は日本のロダンといわれるのも、理想的人間美の追求姿勢がはっきりしているからなのです。
「作品の解説」(市民文化センター元館長 今純一郎氏)
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